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 早稲田大学
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item1b1a1 えんじの人々(8)「学究の徒として」

河野貴美子さん (女子部・昭和62年・第一文学部卒業)  2009年11月掲載

 

創部57年の女子部の卒業生ではじめて、母校早稲田大学の教員として研究生活をおくっているのが河野貴美子さんです。今年平成21年(2009年)4月から1年間、中国の北京大学で、「中国古典籍の研究および中国における古典籍研究の現況調査」に取り組んでいます。早稲田大学と北京大学の間で結ばれている派遣交換研究員制度によるものです。専門研究領域は、「遣隋使や遣唐使の時代、彼らが持ち帰った書物や文化、学問がどのよう なものであったか。また、それらが、日本人の書いた書物の中にどのように反映しているか」というものです。「中国の古典籍は、時代の流れとともに散佚してしまったものが多いのですが、日本には、正倉院の御物のように、古く日本に伝わり、今も失われず残っている文物が多く、その中には、中国から伝わった書物もあります。そういったものにも関心をもって研究しています。また、現在北京での研究は、北京大学図書館などを利用しながら、古典を中心に研究しています。なかには例えば、江戸時代に日本で書かれた書物(写本)が現在は中国の 図書館に所蔵されていたり、中国の研究者が、昔日本に伝わった中国古典籍のことを研究していたりしていて、中国と日本の間を行き来してきた書物や学問の交流について、情報を集めています。」

河野さんが、こうした中国文学と出会ったのは、昭和58年に早稲田大学第一文学部に入学して、第二外国語として選択した中国語を学び始めたのがきっかけです。将来、研究者の道を目指していたわけではなく、中国のことを広く学んでいくうちに、その歴史と学問の深さに関心をいだくようになりました。

河野さんは、昭和58年に兵庫県の甲子園学院高校から、早稲田大学第一文学部へ入学。高校時代は兵庫県で最高成績3位(高校2年生の秋季大会)に入る競合校から、「早稲田に大きなあこがれをもって」受験を突破し、合格を果たしました。「大学に進んでもバレーボールを続けたい」と女子部の門をたたきました。1年のときは5部から始まり、最後は残念ながら6部で卒業しました。「学生時代最後の試合はリーグ戦下部リーグとの入れ替え戦でした。それに勝って終わることができたことが、印象深く感じています。」 高校時代に全国大会を経験する選手がいなかった当時は、少ない選手で苦しい戦いを続けていました。そのチームカラーは、「人数が少なかったけれど、とてもアットホームなよい雰囲気でした。」早稲田を選んだことに誤りはなく、「さまざまな出会いの可能性があるこの早稲田の場所で過ごす4年間は、 なにものにも代え難い貴重なものだったと思います。」と言います。

河野さんは、卒業後東京都の高校の国語の教員の道を歩みます。都内の高校に計17年勤務、最初の9年間は定時制高校で教鞭をとる、という貴重な経験もしています。その後、全日制高校に8年つとめその間ずっとバレーボール部の顧問をつとめました。高校の教員時代から、日本バレーボール学会に所属し、日中の古典学の研究の傍ら、長い間バレーボールにも深く携わっています。

当時と現在では、女子部の姿はすっかり変わっています。部員のほとんどが、戸塚ではなく所沢のキャンパスで学び、練習場所は記念会堂から上井草に移り、今では1部リーグを舞台に、日本一を目指すチームになりました。しかし、河野さんは今も変わらない早稲田のカラーがあるはずだと言います。現役の頃と今の女子部のカラーや雰囲気について、「今の女子部のバレーボールは、私たちからは想像もできないくらいハイレベルのものだと思います。でも、えんじのユニフォームを着て試合に臨むときの「誇り」は変わらないのではないでしょうか。今の現役の選手には、よい思い出と充実感をもって卒業できるよう、4年間精一杯がんばってほしいです。」とエールをおくります。

自ら高校の教員であった経験から、早稲田を目指す高校生にアドバイスをおくります。「早稲田にはこれまで培われてきた早稲田ならではの伝統があり、また、それにしばられず新たな早稲田をつくっていく現役学生がいます。ぜひ早稲田の一員となってください。」

河野貴美子(こうのきみこ)・・・昭和58年(1983年)兵庫県甲子園学院高校から早稲田大学第一文学部に入学、バレーボール部に入部。4年生のときに主将としてチームを引っ張る。昭和62年(1987年)卒業、東京都内の高校教諭(国語科)の職に就く。早稲田大学 修士( 文学研究科 日本文学) 1994年 修了、二松学舎大学 修士( 文学研究科 中国学) 2001 年修了、早稲田大学 博士( 文学研究科 日本文学) 2004年 修了。2004年から早稲田大学文学学術院専任講師となり、現在早稲田大学文学学術院准教授。専攻は日中古典学。主に奈良・平安期 における中国の書物、学問の受容についての研究。日本バレーボール学会所属。また、稲門バレーボール倶楽部の幹事として、女子部現役の支援や卒業生の親睦につとめた。

参考 早稲田大学研究者データベース

J-GLOBAL研究者データベース

日本バレーボール学会

 

この「えんじの人々」シリーズでは、稲門バレーボール倶楽部の会員の消息や各界で活躍するすがたを紹介していきます。そうした卒業生がいらっしゃったらご連絡ください。ご自分での文章も歓迎いたします。